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Funny stories

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16 2018

歪み1

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。


――― 互いを想い、慕い合うさなか、数奇な運命の悪戯が二人に忍びよる ―――

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まもなく新学期を迎える2月末のある日。
ユニとユンシクは、祖母が認知症で施設に入ったという連絡が届き、祖母の見舞いがてら新学期が始まるまでの数日間は、母の実家で過ごそうということになった。
寂しがっている母にも会いたい。

母はソウルからほど遠い地方都市の、祖父が遺した古くからの家に祖母とともに暮らしていた。
ユニたちが育った実家は、すでに処分して人手に渡っている。
母ミリが結婚する前まで住んでいたという実家は、裕福だったことを窺わせる佇まいだが、ミリが大学生の頃に人の良すぎる両親が知人に騙され、ほとんどの財産を失い、僅かな蓄えと家だけが残ったと、ユニたちは聞かされていた。

朝早く、姉弟は一緒にソウル駅を出発するつもりだったが、アルバイト先の貿易会社から、明日はどうしても来て欲しいと言われて断り切れず、前の日の夜、ユンシクに先に行ってて欲しいと連絡をした。

「仕事が終わったら、急いで電車に乗るから…」
 『うん、わかった…でも、無理しなくていいよ。カラン兄(ヒョン)が寂しがるだろうし、しばらく会えないんだから―――』 
今夜、ゆっくりと別れを惜しんだら、とユンシクがからかった。
「余計なお世話よ、ユンシク!私も、ぜひそうしたいところだけど、彼は、今ソウルにいないわ…お父様のイ総理と一緒に、上海に行ってるのよ…それよりも、ユンシク?あなた、お母さんを独り占めしたいからでしょ?」
 『はははっ、ぜひ、そうしたいよ―――』
ユンシクは、ソウル駅を出る前に連絡してと言って通話を切った。

ユンシクとの通話を切ってすぐに、待ってましたとばかりに、上海にいるソンジュンからのコールだ。

 『誰と話してた?』
「大切な、男性よ…」
 『もしかして、テムルって渾名の?』
「うふふ、すごいわ…どうしてわかったの?」
 『僕以外に大切な男なんて、テムル以外にいない……だろう?』
「ええ、間違いないわ……今どこ?」
 『今は、上海のホテルだ。明日から―――』

明日から、上海から遠く離れた山間部に行き、そこで勉強する子供たちの為に、小学校に本を届けるという。
母セリョンから頼まれたというが、ソンジュンも可能な限り、貧しい子供たちへの支援活動に参加したいと語った。

「―――素晴らしいわ…」
 『うん、でも、ひとつだけ問題があるんだ……』
「問題?」
 『そう…僕にはとても重大な問題―――』
電波の弱い地域だから、明後日の夜まで電話も、通信もできなくなるという。

 『―――だから、きみの声を聞いておきたくて……丸二日も聞けないなんて、禁断症状が出そうだ』
「私は、あなたが韓国にいないっていうだけで、もう症状が出てるわ…あなたに意地悪を言いたくてたまらないもの」
 『ははは、どんな意地悪な言葉でも、愛してるって聞こえるから平気……だから僕も……ウォアイニー/我愛你(愛してる)』
「あら?中国人の綺麗な女性に教わったの?」
 『まさか、ありえない……ユニ、愛してる。帰ったらすぐに、きみに会いたい』
「私もよ、阿郎(アラン)…愛してるわ―――」

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


「母さん!ただいまー!」
ユンシクが玄関の扉を開けて、大声で母を呼んだ。
奥から母のミリが、はち切れんばかりの笑顔を浮かべて出てきた。
「ああ、おかえり、ユンシク。あら、ずいぶん男らしくなったわ……本当に私の息子?よその家の子じゃないかしら!?」
「あはは。よその子はないだろ」
「うふふ、冗談よユンシク。さあ、母さんによく顔を見せてちょうだい?」
ユンシクの頬は、ミリのあたたかい手に包まれていた。
うるんだ目でユンシクを見上げる。ユンシクは恥ずかしそうに目をそらして言った。
「母さん、僕、お腹がペコペコなんだ」
「あ、そうね。ごめんなさい。あなたの好きなパジョンとキンパをたくさん作ったわ。早く手を洗っていらっしゃい」
「うん…」
ミリは鼻をすすり、ユンシクの頬から手を下ろした。




「ユニはやっぱり一緒に来れなかったのね…せっかくの休暇を稼ぎたいだなんて……デートしてくれる男性はいないのかしら?」
ミリは、湯呑にお茶を注ぎながら、皿に残ったキンパを眺めてユンシクに尋ねた。
「ははは、兄(ヒョン)たちがいたら、恋人なんてできやしないよ……」
「まぁ!?大変だわ…孫の顔なんて、うんと先になっちゃう…ふふふ」
ミリが冗談ぽく言うのを聞いて、ユンシクは口いっぱいにキンパを頬張りながら、ぎこちない笑みを浮かべた。
ユニからは、母を心配させたくないからソンジュンのことは言わないようにと、硬く口止めをされていたからだ。
「ははっ…けど今夜帰ってくるかもしれないよ。母さんに会いたがってたから…それまで、僕が母さんにたっぷり甘えてもいい?」
「まぁ!?」
うふふ、あははと笑いあう母子の、あたたかな空気に包まれた。
少し老いた母の久しぶりの笑顔に、ユンシクは思わず目頭を熱くした。


※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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