Funny stories

ARTICLE PAGE

09 2018

二度目のクリスマス6

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。


ジェシンのすぐ後ろをちょこちょことついて行くダウン。彼の後ろ姿を見ながら、くすっと笑う。

「ん?何だ?」
ジェシンは訝しげに、楽しそうに笑うダウンを振り返った。
「私の門限のこと…知ってたの?」
「…令嬢ってのは、門限がつきものだろ?」
「ふふふっ…一応はあるけど、あなたと一緒の時は別」
「何だそりゃ…」
早足ですたすたと行ってしまうジェシンに、ダウンが慌てて追いかけながら尋ねた。
「なぜか、って聞かないの?」
「別に……興味ない…」
「…ひどいわ」
しゅんとなるダウンに、ジェシンはくすくすと意地悪に笑った。

「…今夜のヨリム先輩、いつもの彼じゃなかったわ…よっぽど振られたのがショックだったのね…」
「そうだな。いい気味だ…」
「いい気味って…」
「めったに見られるもんじゃないぞ。あんなヨリムの姿は」
「ふーん」
「まぁ、とばっちりを喰らったのは、カランだ……」
「え?イ・ソンジュンさん?」
ジェシンはダウンの問いには答えず、薄い笑みを浮かべた。

「ダウニー……」
ジェシンは優しい声色でダウンを呼ぶ。
「え…?」
こんな優しい声で名を呼ばれたのは初めてのことだ。
「サンキュ!……ユニのこと…お前、気を使ってくれただろう?」
「……」
ダウンが立ち止まって黙り込む。ジェシンが後ろを振り返った。
「どうした?」
「……そうじゃないわ…本当にあなたとキスをしたかったの…」
「ん?…ふんっ、大胆なやつ」
「これでも、精一杯、勇気を振り絞ったのよ。あなたに振り向いて欲しくって……バカみたいに」
ダウンの目から涙がこぼれる。
「泣くほどのことか……?」
「ジェシンさん…?ユニちゃんのこと…」
「……黙れ。それ以上言うと、本気で怒るぞ!」

―――お前に何がわかる…





「ふぇ……うっ」
「泣くなって言ったろ?…置いてくぞ」
ジェシンはくるりと背を向けると、コートのポケットに手を突っ込んで、スタスタと行ってしまう。
「待って…!」
ダウンは泣き顔を貼り付けたまま、ジェシンを追いかけた。
少し背伸びをして買った、ヒールの高い真新しいパンプスは、慌てて追いかけようとするダウンを転ばすには簡単だった。

ジェシンの背後で、バタっという鈍い音と、キャっという小さな悲鳴が聞こえて振り返った。
街灯の下で、小さくうずくまるダウンの姿を捉えて叫ぶ。
「おい!?何してるんだ?」
「あぁーーんっ!大丈夫かって、どうして言ってくれないの?」
子供のようにベソをかくダウンの姿に、思わずジェシンが吹き出す。
ダウンは、笑うだけで手を貸してもくれないジェシンを見て、さらに大きい声で泣き出した。
「ひどいわ―――」
その様子に、笑いが止まらないジェシンは、ダウンにくるりと背を向けてしゃがみこんだ。
「ほら…」
背負ってやるというようなジェスチャーに、ダウンは驚いて泣くのをやめた。
「……いいの?」
「歩けるのか?」
顔を横に向けただけで、振り向こうとしないジェシンに、ダウンは首を大きく横に振る。
慌ててジェシンの首に腕を回して、背中に寄りかかった。

軽々とダウンを背負い上げたジェシンは、ゆっくりと歩き出す。
ダウンは嬉しさのあまり、ギュッと抱きついた。
首筋にかかるダウンの息づかいと、やわらかな彼女の長い髪の毛がジェシンの頬をくすぐった。
「おい、そんなにくっつくな!?」
「やだ…」
「なんだと!降ろすぞ」
「…やだ……」
ダウンは降ろされないように、さらにしがみついた。
「ったく…なんて女だ」
ジェシンの乱暴な言葉も、今夜ばかりは不思議と温かい気がする。
「ねぇ?……いつか、本物のキスをしてくれる?」

―――本物……

ジェシンにとって本気のキスと言えるのが、去年の大みそかに、酔った勢いだとごまかした、ユニへのキスが唯一のそれだった。
突然キスを迫られて驚いたが、温かく柔らかなダウンの唇は、ジェシンの冷えた胸の内をぎゅっと鷲づかみした。
ソンジュンの傍らでユニの幸せそうな様子を間近で見るのは、未だに胸をチクリと刺される思いだが、ひたむきに想いをぶつけてくるダウンに癒されるのも事実だった。
それでも素直になれず、背中の温もりに憎まれ口をたたく。
「ふんっ、ばぁーか」
「あ、ひどいっ!!」
見えてなくても、背中のダウンの表情が浮かび、ジェシンが笑い出す。
「降ろされたくなかったら、おとなしくしてろ…」
「……うん」

背中に伝わる、ダウンの温もりを心地よく感じながら、ジェシンはゆっくりと帰り道を歩いた。


※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

にほんブログ村

お気に入りの二次小説は!?



関連記事

成均館スキャンダル ソンギュンガンスキャンダル ユチョン 二次小説 성균관스캔들 ユアイン ソンジュンギ

0 Comments

Leave a comment