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Funny stories

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31 2017

二度目のクリスマス3

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



翌日、朝早くに起きたユニがキッチンに行くと、ジェシンが湯を沸かしている最中だった。
テーブルにもたれて腕を組み、ぼんやりとケトルを眺める涼しげな横顔に、ユニが声をかけた。

「おはよう、オッパ…」

小さな声で自分を呼ぶユニに気がついたジェシンは、優しい笑みを浮かべて返事をした。
「ん?……ああ、ユニ…うるさかったか?」
ユニは首を横に振りながら、ジェシンの隣に並んだ。
コーヒーでも淹れるつもりなのだろう。勝手が分からないはずなのに、カップやコーヒー豆まで、全てテーブルに揃えられている。
以前のマンションを頻繁に訪れていたジェシンは、ユニがどこに何を仕舞っておくのかなどは、承知の上だった。

「私の分もある?」
「飲むか?」
嬉しそうな顔でうんと頷くユニを見て、ジェシンの顔がほころんだ。

「……オッパ?すごく心配してくれたって、ヨリム兄から聞いたわ―――」
ユニがごめんなさいと消え入るような声で言うと、ジェシンはコンロからケトルを持ち上げ、ドリッパーに湯を注ぎながら答えた。
「ん?ああ…すごくって言っても、カランほどじゃないが……ふっ。あいつ、死にそうな顔してたぞ…」
嘘だ。ジェシンはユニをひどい目に遭わせた奴らを、めちゃくちゃにしてやりたかった。
そしてソンジュンと同じくらい、すぐにでもユニの傍に行きたかった。
しかし目の前の愛しい女が待ち望んだのは、死にそうな顔で心配していた男の方だった。

ジェシンはケトルをコンロに戻すと、ユニの頬に手を添え、親指でなぞりながら言った。
「……この綺麗な顔に、傷がつかなくてよかった……」
「綺麗だなんて、初めてよ?オッパの口からそんな言葉が出るなんて、信じられない」
「あん?そうだったか?」
「ふふふっ。女の子の扱い方を学んだのね……最近、ダウンちゃんといい感じだって…ヨリム兄が言ってた」
「ばぁーか。そんなんじゃねえよ…さあ、座れ」
ジェシンは、カップにコーヒーを注ぐとユニの前に置いた。




美味しそうにコーヒーを啜りながら、ユニがリビングに視線を向けてつぶやく。
「ずいぶん遅くまで飲んだの?みんなぐっすりだわ」
「ん?ああ…半分は帰ったが、そこに転がってるやつらと、酒がなくなるまで飲んだ」
「はぁ…あいかわらず、すごいわね―――」
テーブルの上にも床にも、緑色の酒瓶が転がっているのを見て、ユニは舌を鳴らしながら、首を横に振った。

ソファにもたれ、ウトウトしていたソンジュンは、コーヒーの香りとユニの話し声で目覚めると、薄っすらと目を開けて、声のする方に視線を向けた。
無理に飲まされた焼酎のせいで、頭がクラクラする。二日酔いのせいか、ジェシンとユニの姿が揺らいで見えた。
だんだんと視界がはっきりしてくると、二人が楽しそうに話している様子が目に映った。
ジェシンがユニの頬に手を添えた時、ソンジュンの身体の奥底からどす黒いものが湧き上がった。
ユニと微笑みを交わすジェシンの表情は、誰にも見せたことのないような、穏やかで優しいものだ。
ジェシンを見るユニの表情は、自分に向けられるそれとは違うとわかってはいるものの、ソンジュンは複雑な感情を抑えようと、もう一度目を閉じた。

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冬休みに入って間もなく、ユニは大学側から依頼されたアルバイトのために、梨花大学を訪れていた。
仕事の内容とは、海外から来韓した短期留学生のために、キャンパス内を案内して回るというものだ。
英語や日本語を堪能している彼女に、教授からやらないかと声がかかった。

案内を終え、大学の校門を出たところで、スーツ姿の男性が黒いハイヤーの横に立ち、ユニを待ち構えていた。
見覚えのある顔だった。韓国料亭のクンジュンで会った、ジョンムの秘書のキム・サンチュンだ。




車で連れ去られた日の光景が、ユニの脳裏をかすめ、顔を強張らせる。
すると、黒いハイヤーの後部座席のドアが開いて、女性が降りて出てきた。
その女性がソンジュンの母だと気づくと、ユニは微笑みを浮かべて頭を下げた。

「こんにちは。ユニさん……急で申し訳ないのだけれど、お時間をいただけないかしら?」
セリョンの言葉に、ユニの瞳が不安で揺れる。
「心配しないで。あなたを傷つけるようなことはしないわ―――」

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ユニが車に乗り込み、連れて行かれた先は江南の大きなホテルだった。
秘書のあとにセリョンが続き、ユニもついて行く。
ある部屋の前で、SPと思しき二人の男性がドアの両隣に立っていた。
男性たちに軽く頭を下げたセリョンが、その部屋のドアをノックすると、中から別の秘書がドアを開けて迎えた。

「ユニさん、どうぞ。お入りになって」
セリョンに入るよう促されたユニは、床に視線を落としながら部屋に入ると、背後でカチャっと音がしてドアが閉められた。
おずおずと顔を上げたユニは、大きな窓を背後にして立つジョンムの姿を捉えた。

「やぁ、よく来てくれたね。どうぞ、かけなさい…」

顔に緊張を浮かべるユニに、初めて会ったときと違って、穏やかな表情を浮かべたジョンムが、ソファに座るように促した。
ユニはソファに座ろうとしないで、ジョンムに向かって深々と頭を下げ、セリョンを振り返る。
にっこりと微笑みを浮かべたセリョンが、大きく頷いてみせると、ようやくユニはソファに腰を下ろした。

「―――きみを大変な目に遭わせたと、聞いている……全ては、この私に原因があるようだ…どうか、許してほしい」
「イ総理、お止めください―――」
頭を下げてわびるジョンムに、頭を上げてくださいと恐縮するユニ。
言葉は少ないものの、これからも息子のそばにいてやって欲しいと告げられると、目を潤ませたユニの顔に、綺麗な微笑みが浮かんだ。

ユニの脳裏に、両親とのことが過ったが、いつか聞けるだろうと口を閉ざした。

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同じ頃、ハ・ウギュに関する一連の事件で、チョン・ソヨンにも警察の捜査が入った。

借りていたアトリエを出ていくつもりで、荷物の整理をしていたところに、数人の警察官がやってきて、ソヨンに任意の同行を求めた。
手伝いに来ていたユンシクが、ソヨンを庇おうとしたが、彼女は、まだ顔に傷跡を残す彼を痛々しく見つめて、心配いらないとにっこり微笑んで見せ、女性の警察官に付き添われてアトリエを出て行った。
後を追いかけるように外に出たユンシクは、ソヨンを乗せた警察車両が見えなくなっても、寒空の下で上着も羽織らず、しばらくその場で佇んだ。

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ヨンハがのちに、警察の内通者から得たソヨンの容疑に関する情報を、ユンシクとユニの前で話して聞かせた。

「―――様々な悪事に、ソヨン姐さんの部屋を使っていたようだ。不在の時がほとんどだったというが、その現場にいながら、見ないふりをしていたことも事実だから―――」

ソヨンには、ほう助や隠ぺいの容疑がかけられ、しばらくは拘留されるだろう、しかし、ソヨンにはたくさんの支援者がいて、情状酌量を求めて動きがあるとも語った。

「―――まあ、最悪、起訴されて有罪となっても、執行猶予が付く…ただ、しばらくは拘留されたままだ……有能な弁護士を置くことや、身元の引き受けを申し出たが、本人に拒否された…姐さんらしい」
「ヨリム兄(ヒョン)?……僕、ソヨンさんを待っててもいいのかな?…迷惑じゃないよね…」
ユンシクが、ヨンハに尋ねた。
「ああ…ソヨン姐さんのことだ。自分から身を引こうとするだろうが、お前を心から好きだと思ってるよ。ユンシクの気のすむまで待ってやれ」
ユニは何も言わず、寂しそうに笑うユンシクの肩を抱いて労わった。


※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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