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Funny stories

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08 2017

利川の山荘3

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



明け方近くなって、ユンシクの顔色が良くなると、ソンジュンは看護師に声をかけて病院をあとにした。

タクシーで自宅に帰り、シャワーを浴びると、一気に疲れがソンジュンを襲う。
くたくたに疲れているはずなのに、ベッドに入って眠る気にはなれなかった。
自室のソファに身体を横たえると、ソンジュンは腕を枕にして目を閉じた。

浅い眠りの耳に、電話の着信音が聞こえる。
慌てて身を起して、スマホを手に取った。

―――ヨリム先輩!?

スマホの時刻は、朝の10:30を表示している。浅い眠りとはいえ、いつの間にか眠ってしまったようだ。

「もしもし!?先輩!!」
 『やあ、カラン…遅くなって悪かった……ユニだろう?』
「やっぱり先輩がご存知なんですね?彼女は一体どこに?」
 『待て、待て、慌てるな…ユンシクから聞いてるだろう?安全な場所にいるって』
「先輩、そのテムルは今…病院にいます。昨日の夜、江南の路上でインスさんに暴行されて…」
 『何っ!?ユンシクがインスに!?カラン、詳しく話せ―――』

ソンジュンはヨンハに、昨夜起こった事件の経緯を電話口で詳しく語った。
 『―――わかった。今のところ、インスが捕まって、ユンシクは無事だということだな?で、一緒にいたという女も、病院にいることに間違いないか?』
「はい…今も一緒だと思います」
 『そうか……ユンシクは心配ない、カラン?お前、出てこられるか?』
「はい、すぐに出られます。どこに行けば―――」

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


―――なんてことだ…ユンシクまで

ソンジュンとの通話を切ったヨンハは、狎鴎亭のサムギョプサルの専門店【Dwaeji】で、朝から酒を飲んでいた。
ユニをソヨンの部屋から救い出した日から、ほとんど眠らずにソウル市内だけでなく、国内を奔走していた。
ようやくウギュの件を始末し、ソンジュンを呼び出すつもりで馴染みの店にやってきた。

相当疲れているはずなのに、神経が昂っているせいか、いくら酒を煽っても酔いを感じない。

ヨンハはユニの一件をソンジュンに話した後、ソヨンとユンシクを迎えに行くつもりだった。
なのに、あろうことかユンシクを危険な目に遭わせてしまった。
ソンジュンが、その場に居合わせなかったら、と思うと余計に、行き場のない怒りがこみ上げる。

―――全て終わらせた…

ユニと約束した「カタをつける」は、丸二日をかけてやり切ったつもりだ。
ユンシクの怪我が大したことないと聞き、ヨンハは自分を労った。

しばらくすると、ジェシンが店にやってきた。
ソンジュンに電話をかける前に、ユニの事で話があると言って、ジェシンを店に呼び出していた。
ヨンハの顔を見るなり、今度は何だ、とでもいうように目を細める。
普段と違うヨンハの表情に、ジェシンが尋ねた。
「どうした?お前らしくないな…」
「……コロぉ、お前も飲む?」
ジェシンは、店員にグラスを頼むと、ヨンハを振り返って尋ねた。
「で?…ユニがどうした?電話で話せないことなんだろう?」
ヨンハは、うんうんと小さく頷きながら、ジェシンの前のグラスに酒を注いだ。
「まあ、待て。もうすぐカランがここに来る。揃ったら話すから…」
ジェシンは、ふんと鼻を鳴らして、グラスに注がれた酒をぐいっと煽った。

ジェシンが店に来てから、いくらもしないうちにソンジュンが店に入ってきた。
店員に案内されて、二人がいる個室に通されると、ヨンハが言った。
「やあ、来たか…」
「先輩…」
ソンジュンの顔には、不安と焦りの色がありありと現れていた。
ジェシンは、普段の冷静さが微塵もないソンジュンの様子に、ヨンハを訝しげに睨んだ。

「まぁ、座れ…お前は飲まないな…」
ソンジュンは座ろうともしないで、首を横に振って尋ねた。
「先輩!!彼女は、どこに?」
「ヨリム、どういうことだ!?」
ソンジュンの言葉に、ジェシンが顔をしかめてヨンハに食ってかかった。
ヨンハは、ふたりの視線を避けながら、苦渋の表情を浮かべて言った。

「カランの不在に、ユニが連れ去られて、強姦されかけた…」
「えっ!?」「なにっ!」
ソンジュンの顔に驚愕の色が浮かび、ジェシンの顔が歪んだ。
「二人とも落ち着け…大丈夫だ。身体は無事だし、今は安全な場所にいる」
二人が同時に掴みかからんばかりの勢いで、ヨンハにつめ寄る。
「どこですか?」「どいつだっ!?」
ヨンハは、テーブル越しに胸ぐらを掴もうとするジェシンの手を払い、ソンジュンに向かって手を上げて制した。
「利川にある俺の別荘だ…3日前に連れて行った」
ソンジュンが慌てて出て行こうとするのを、ヨンハが呼び止めた。
「待て、カラン!どこへ行くつもりだ…利川の山荘って一体何軒あると思ってる?」
「そうでした…場所を教えてください。すぐに…」
「慌てるな」
「でも、先輩…!?」
「さっき言ったろ?安全だって」
安全だと言われても、ユニの無事な姿を見るまでは、不安をぬぐい切れない。
ソンジュンの顔に焦りの色が濃く浮かび上がる。
「……カラン?前にも言ったろ?こいつはク・ヨンハだ…」
「コロ?愛してるぞ」
ジェシンは、舌打ちしながらヨンハを睨み、顎をしゃくってソンジュンに座るよう促した。
「何があったか、詳しく話せ……」

ヨンハは真顔な表情で、ユニが、ユンシクの事故を装って呼び出した男たちに車で連れ去られ、ソヨンのマンションに連れ込まれたこと、すぐにソヨンからの電話のおかげで、ユニを無傷で救い出し、山荘に連れて行ったことを話した。
目を瞑り、怒りを必死に抑えるジェシンと、一点をじっと見つめ、テーブルの上で拳を震わせるソンジュン。
黙って聞いていたふたりは、それぞれの反応を見せ、狭い個室にピリピリとした空気が張りつめた。

「ユニが、ふたりには言うな、と……あいつらしい…お前たちの事をよく知ってる、賢い女だよ」
ヨンハは、ようやく自分の使命は終わったと言わんばかりに、大きな息を吐き出した。

「先輩、僕が彼女を迎えに行きます…行かせてください。何もかも、僕に責任があります…テムルが大怪我をしたのも…」
ソンジュンは、ベッドに横たわるユンシクの姿を思い出して、言葉を詰まらせた。
「ユンシクが何だとっ!?」
ユンシクが怪我をしたと聞いたジェシンは、見たことないほどの険しい表情を浮かべて怒鳴った。
すくっとジェシンが立ち上がるのを、ヨンハとソンジュンが見上げる。
「コロ、待て!」
ヨンハが、ジェシンのグラスに目を向けて、お前は行けないぞと諭した。
「くそったれっ!!」
ジェシンはヨンハを苦々しく睨み、悪態をついた。
「わかった、わかった、詳しく話すが、とにかく、ユニも、ユンシクも無事だ……それと、カラン、誤解するな。ユンシクの一件はお前に関係ない…インスを捕まえただけでも、感謝状ものだ…」
「一体、何がどうなってる!!」
ヨンハは、いらいらと落ち着かないジェシンをなだめ、ソンジュンに向かって言った。
「カラン、向かいのパーキングに車が停めてある。ユニを迎えに行ってやれ―――」
ヨンハが立ち上がって、ついて来いと言うと、ソンジュンはヨンハについて店の外に出た。
パーキングに停めてあった4輪駆動車の前で、ヨンハはソンジュンに車のキーを差し出しながら言った。

「―――ユンシクのことは、言うな…あいつもコロと一緒で、ユンシクのこととなると手に負えん……ユンシクとソヨンは、俺たちが後で迎えに行くから安心しろ…」
「先輩、ありがとうございます……」
ソンジュンは深々と頭を下げると、すぐさま車を発進させた。


―――ユニ……




ソンジュンが出て行ったあと、個室は静寂を取り戻した。
ヨンハは、ユンシクが暴行されたいきさつを話し終えると、ジェシンのグラスに酒を注ごうと酒瓶を傾ける。
それを遮るように、ジェシンが手のひらでグラスを覆って言った。
「何故だ…なぜお前はユニとあいつをくっつけたがるんだ?…危険な目に遭わせて、そんな山奥に閉じ込めておく理由……あいつが自分で言うように、カランにあるんだろう?いくら好き合っているからって、ユニが…辛い目に遭うだけだ……」
「だからって、お前がユニを幸せにできるか?」
「うるせぇ…お前といい、親父といい、いったいなんなんだ?」
「ほぉーぅ?親父さんも同じなんだな。だったら親の言うことは聞かないと…」
「なんだと?お前、一体、何を知ってる?」
「なーんにも……ほら飲め!あとはカランに任せればいい―――」



※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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