Funny stories

ARTICLE PAGE

02 2017

利川の山荘1

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



ユニが山荘に連れて行かれてから二日後の昼過ぎ、済州島を後にし、金浦空港に降り立ったソンジュンは、出発した時と異なり、冴えない表情を浮かべていた。
チャン教授と別れて一人になったソンジュンは、スマホを取り出してユニに電話をかけた。
電源が入っていないというアナウンスが、ソンジュンの耳に冷たく響く。
朝早く、目覚めてすぐに、ベッドの上からユニのスマホに電話をした時と同じ、スピーカーから聞こえる事務的な音声に変わりはなかった。

―――いくらなんでも、二日間も繋がらないなんて…

新しい電話を買わなくても、失くしたという電話が見つかるまでレンタルという手もある。
ユニは、そんなにのんびりとした女性ではないはずだと、ソンジュンは思った。

今日は土曜日。
もしかしたら、自分を驚かせようとして、空港に迎えに来ているかも、と都合のいい想像をすると、急ぎ足で空港の出口に向かった。

「おかえりなさーーい、坊っちゃーん!!」

到着フロアを出て、ソンジュンを待っていたのは、ユニではなくスンドリだった。
優しい笑顔を浮かべながらも、どこか沈んだ表情のソンジュンを見て、スンドリは大きな声で叫んだからだと、恥ずかしさで縮こまった。


スンドリ



「ただいま、スンドリ…ありがとう、助かるよ…」
気を取り直したスンドリは、にこにこと嬉しそうに笑みを浮かべながら、ソンジュンからキャリーバッグを取り上げ、トランクに詰め込んだ。

「さぁ、乗って!帰りましょう……坊っちゃん?今日は、旦那様と奥様が、急な葬儀でお出かけになられまして、坊っちゃんが飛行機の中なので、伝えて欲しいと…」
「葬儀?…そうか……スンドリ、頼んでもいいかな?―――」
ソンジュンは、スンドリに、家に帰る前にユニのマンションへ寄って欲しいと言った。
まったく、坊っちゃんときたら、と冷やかそうとしたスンドリだが、ソンジュンの沈んだ表情に口をつぐむと、小さく頷いた。

ユニのマンションの前に車が停められると、ソンジュンがスンドリに言った。
「しばらく待っててくれないか?顔を見て来るだけだから…」
「はい。坊っちゃん、ごゆっくり」
「はははっ、すぐに戻るよ」

マンションのエントランスをくぐり、ユニの部屋のインターホンを鳴らす。
ユニの声が聞けると思ったら、ドキドキと、ソンジュンの心臓が高鳴った。
しかし、しばらく待っても反応がない。
ソンジュンは、もう一度インターホンを鳴らして待った。

―――出掛けてるのかな?


今日、済州島からソウルに戻ってくることは知っているはずだ。
搭乗する飛行機の時間も伝えてある。
帰ったら会おうなどと約束しなくても、ソウルに戻ればユニに会える、そう信じて疑わなかった。
声を聞くことすら叶わないなんて想定外だ。
突然、目の前からユニが消えてしまったかのような錯覚に陥る。
ザワザワと嫌な胸騒ぎがソンジュンを襲った。

―――ヨリム先輩…いやテムル、テムルだ!

ソンジュンは、ヨンハではなく、ユンシクに尋ねてみようと、スマホを取り出した。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


 ブブー、ブブー、ブブー…

ソファにもたれてうとうとしていたユンシクのスマホに、着信を告げる音が鳴った。
昨夜、一睡もできなかった二人に、日が高くなってからようやく、眠気が訪れたところだ。

「ソヨンさん…ごめん、起きて?」
ユンシクの膝を枕にして、安心しきった表情で眠るソヨンの頬を、優しく撫でて囁いた。
「あ…ごめんなさい」
ソヨンが身体を起すと、ユンシクは立ち上がってスマホを手に取った。
「あ、カラン兄(ヒョン)だ…」
「カ、ラン…?」

「もしもし?カラン兄?」
 『やあ、テムル…今、いいかい?』
「うん…今、ソウル?」
 『ああ…さっき、帰ってきた』
「そう。おかえり……カラン兄、どうかしたの?」
ユンシクは、ソンジュンの声色がいつもと違う気がして尋ねた。
 『君の姉さん、どこにいるか知らないか?』
「ユニ?…どこにって、連絡取れないの?」
 『テムルは聞いてないのか?電話を失くしたって』
ユンシクの口からユニの名前が聞こえてくると、ソヨンの顔に動揺が浮かんだ。
ソヨンは、ユンシクに何も聞かれないため、ユニの身に起こったことは話していなかった。
「ううん、聞いてない……僕、昨日から家に帰ってないんだ…もしかして、マンションにいるかもしれないよ?」
ユンシクは、ソヨンの様子を横目で見ながら、まさか、ソンジュンがユニのマンションにいるとは知らず、彼に答えた。
 『…うん。そうだな…見てくるよ―――』

 ―――君のいう、そのマンションにもいないんだ…


沈んだ声で、また電話するとソンジュンに言われたユンシクは、通話を切るとソヨンを振り返って尋ねた。
「ソヨンさん…聞いてもいい?……僕の双子の姉、ユニのこと、何か知ってる?」
「え?あの…ユンシクさん……電話の相手は、どなた?」
「カラン兄…ユニの恋人なんだ…」
ソヨンは、電話の相手がユニの恋人だと聞くと、申し訳なさそうな表情でうつむいた。

「ソヨンさん?僕がヨリム兄からあなたの傍にいるように言われたことと、ユニと連絡が取れないことと…何か関係ある?」
ソヨンは悲しそうな表情で、ユンシクを見上げて言った。
「…ごめんなさい。黙ってたわけではないの―――」

ソヨンは、ヨンハに言われた通り、ユニはヨンハの計らいで安全なところにいる、とだけ話した。
ユンシクを巻き込みたくなかったソヨンは、詳しい事情は知らないと言った。

「―――じゃあ、ユニは自宅のマンションにいないんですね?…カラン兄に言わなきゃ…でも、どうやって話せば…安全な場所にいるからって、そんな言葉で納得するはずがない……そうだ、ヨリム兄!?」
ユンシクは、ソヨンが何かを隠しているだろうと、気が付いていた。
だが、それには触れようとしないで、すぐにヨンハに電話をかけた。
しかし、ヨンハの携帯電話もつながらない。
どうしたらいいのだろうと思案するユンシクに、ソヨンが言った。
「ユンシクさん、私をカランさんって方に会わせていただけませんか?私がお話できることをお伝えすれば、少しは安心なさるはず…」
「伝えるって…でも、ここには呼べないよ。ヨリム兄から、アトリエには誰も呼んじゃだめだって。昨夜のガラスが割れたことだって、偶然じゃない」
「ええ。だから外でお会いしましょう…暗くなってから、こっそりここを出れば大丈夫……そうだわ、人通りの多いカフェなら…危険は少ないもの…」

行方のわからないユニと、彼女を探すソンジュン、それにソヨンを守るという使命との間に挟まれたユンシクは、複雑な心境でしばらく考えたあと、ソヨンに言った。
「……わかりました。暗くなったらここを出ましょう。カラン兄に伝えます」
ユンシクの言葉に、ソヨンは口をぎゅっと結び頷いた。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


ユニの部屋の前まで行こうと思ったソンジュンだったが、単に出掛けているだけだと自分に言い聞かせ、諦めてマンションのエントランスを出た。

「あれ?早かったですね…本当に顔を見るだけなんて……もしかしてお留守でした?」
「うん…」
車に戻ってきたソンジュンに声をかけたスンドリは、今まで見たことのないような彼の寂しげな表情に、それ以上何も言わなかった。

しばらくして、ソンジュンのポケットの中で着信音が鳴った。

―――テムル!?

「もしもし?……うん、僕だ―――」
電話の相手はユンシクだった。
ユニのことを話したいから、夜、江南のカフェで会えないかという。
どういうことだと尋ねるソンジュンに、マンションにユニはいない、安全な場所にいて、その理由を知っている人を今夜連れて行くと話した。

「……わかった。10時にいつものカフェで会おう」
 『うん…カラン兄?あまり思い詰めないで。僕も詳しいことは知らないんだ。だけど、ユニの心配は必要ないって。僕もそう信じてるから』
「…ありがとう、テムル…じゃあ、また後で―――」

通話を切ったソンジュンを、焦燥感が襲い、心臓が激しく波打った。

―――やっぱり、彼女の身に何かが起こったんだ…

ソンジュンの不安は的中した。
ユニの事で思い詰めるなと言われても無理と言うもの。

―――ヨリム先輩が何か知ってるはずだ…

ソンジュンは、すぐさまヨンハに電話をかけたが、繋がらなかった。
ますます不安が募る。
夢の中で自分の名を呼ぶユニの悲しい声が、現実であるかのように、ソンジュンの脳裏に響いた。

―――ユニ…きみはどこに……


ソンジュンは、自宅に帰るまで一言も発することはなかった。
助手席のシートで、額を手で支えながら苦悩の表情を浮かべるソンジュンを、スンドリは心配そうに窺いながら、ハンドルを握っていた。



※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

にほんブログ村

お気に入りの二次小説は!?



→ MEMO & 次回更新のご案内はこちら ←

こんにちは。バブルぅです。
お越しくださいましたゲスト様、心より感謝申し上げます。

さて、新しいカテゴリの1話目から、いきなりスンドリさんの渋い顔が…
原作とは違うタイプでしたが、この俳優さんも味がありましたよね。
原作のスンドリは、チェ・ホンマンのイメージかしら…

【20.利川の山荘】では、中盤で限定公開記事を予定しています。
パスワード、またはブロとも申請をされなくても、ストーリーには影響ございません。
ソンジュン&ユニがメインでございますので、通常の3日に1度の更新を予定しております。

では、またのお越しをお待ち申し上げます。

バブルぅ

関連記事

成均館スキャンダル ソンギュンガンスキャンダル ユチョン 二次小説 성균관스캔들 ソンジュンギ ユアイン

2 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/12/02 (Sat) 21:02 | EDIT | REPLY |   

aunt Bubble  

Re: 2017/12/02 (Sat) 21:02に秘密のコメントをくださいましたm*******様へ

秘密のコメントをくださいましたm*******様

こんにちは。バブルぅです。
お越しくださり、ありがとうございます(*´艸`*)

じれじれとお待ちいただきました?
なぜか、ユンシクとチョン・ソヨン(チョソン!?)の妄想恋バナに火が点きまして…(;^_^A

スンドリさんの顔…苦虫を嚙み潰したような、にぴったりの表情でしょ?
大きな顔に鼻がちょんとついた、ユニークな表情の画像を見つけた(?)時には、これ~~!って

……。すみません。

ユニとの再会まで、もうしばらくお待ちくださいね♪
ドラマも原作も少々カラユニ不足だった私です。
勝手な茶番劇にうんざりなさらないでくださいね(;^_^A

では…またのお越しをお待ち申し上げます。
バブルぅ

2017/12/03 (Sun) 01:28 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment