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28 2017

さらわれたユニ8

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



ユニがソヨンのマンションから救い出された日の夜、ソヨンは、ヨンハの頼みで自宅マンションに戻った。
ヨンハの言う通り、テーブルにノートパソコンが残されている以外、部屋は何事もなかったかのように片付けられ、普段と変わらなかった。

数年前、ウギュの愛人となり与えられたマンションだった。
この部屋でウギュはソヨンを抱くことはあっても、泊ることはなかった。

ウギュは仲間と一緒にやってきて悪事を企み、犯罪行為をもこの部屋を使った。
以前、ひとりの男が、数人の男たちに脇を固められた状態で、口に酒瓶を突っ込まれ、大量の酒を飲まされたあと、部屋から連れ出された。
酩酊状態で、虚ろな目から涙を流しながら、ソヨンに助けを請うような表情が、目に焼き付いて離れなかった。
翌日のニュースで、漢江で見つかった遺体がその男だと知った時、ソヨンは罪の意識に苛まれ、この世の無情を恨んだ。

ソヨンにとって、この曰くつきの部屋には未練はなかった。
ウギュに陥れられた人物たちの亡霊に囲まれているような、悍ましさすら覚える。
このマンションを捨て、ウギュの前から姿を消しても、いずれウギュの悪事が表沙汰になれば、自分も加担していた罪に問われるだろう。
故郷に送還されることはなくても、数年は刑務所で過ごすことになる。

韓国に逃げて来てから、初めて好きになった若い青年の、優しいまなざしがソヨンの脳裏に浮かび、心臓を鷲づかみにした。

ソヨンが自宅に帰り、ほどなくしてウギュと側近が部屋に入ってきた。
どこかで、ソヨンがマンションに入るのを窺っていた様子だ。
突然入ってきたウギュに、彼女は少し驚いたような表情を浮かべて言った。
「先生…?どうかなさったの?」
「ん?…いや…」
ウギュの視線が部屋中を見渡す。
奥の部屋を見てこいと言わんばかりに、側近に向かって顎をしゃくった。
しばらくして側近が戻ってくると、無言のままウギュに向かって、首を小さく横に振った。

「今、帰ったのか?」
「ええ、ついさっき…お昼の殿方はいつ帰られたのかしら?綺麗に片付けてくださったのね……あら、これ…忘れ物かしら?」
ソヨンがテーブルのノートパソコンに触れながら、ウギュに言った。
「なに?」

―――なぜここに?…いや、これは我々のものではない…

ウギュは、側近に目くばせを送り、近くに来させた。
閉じたままのパソコンから、小さな明かりが漏れる。電源が付いたままだった。
ゆっくりと開くと、突然男の声がパソコンから聞こえてきた。
どこからか、遠隔操作でもしているのだろう。
動画ソフトが立ち上がり、小さなカードのようなものをつまんでいる手が、画面の横から映し出された。
男の腕のようだが、姿は見せなかった。

 『―――やあ、長官。お粗末な計画は失敗に終わったようだな…これ、何かわかるか?マイクロSDだ…つい先日、ソウルから、中国の国境辺りの住所に配達された荷物の中に入ってたらしい。宛先不明でしばらく放置されていたものが、送り主に返されたんだ…なぜか、送り主は送った覚えがない、と言う。カン・ヨンジェって女性なんだが、少し前に父親を亡くしてね…酔って漢江に落ちた、カン・ジョンジュのひとり娘だ…このマイクロSDには、娘に宛てた動画が録画されている…カン・ジョンジュは、あんたに殺されることを知っていたようだ―――』

ウギュが激しく動揺し、顔がこわばった。
「お前は誰だ?」
ウギュからの問いかけに答える気配がなく、映像をよく見れば、この部屋の壁のようだった。

―――録画!?

男の声が続き、画面が切り替わった。
ユニを連れ去った男ふたりが、全裸で手足を後ろで縛られ、床に転がされている。
局部が見えないようにタオルが掛けられていた。
 『―――こいつら、地方議員の2世だって?…父親の嘆く顔が目に浮かぶようだ……さて、長官。マイクロSDは、今頃あんたの自宅に届いているだろう。この恥ずかしい姿の男たちは、明日返してやる。どこに届けるかは…明日、連絡する―――』

画面が消えて真っ暗になった。

ソヨンが、離れた位置からウギュの様子をちらりと窺う。
部屋の中はさほど暑くないのに、ウギュの額からは、滝のように汗が噴き出していた。

やがてソヨンには目もくれず、側近を伴って部屋を出て行った。
ソヨンは大きくため息を吐くと、いそいそと身支度を始めた。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


 『ユンシク、明日から2、3日の間、ソヨン(ヌナ)姐さんの傍にいてやってくれないか?―――』

その夜、ヨンハからユンシクに連絡が入った。
いつもと違うヨンハの口調に、ユンシクは理由を聞かず「うん、わかった」とだけ返事をした。

翌日の早朝、ユンシクはソヨンのアトリエを訪れた。
事情があって自宅に戻れない、外に出れば彼女に危険が及ぶかもしれないと、ヨンハに言われたユンシクは、アトリエから少し離れた場所で、ソヨンに電話を入れた。
電話に出たソヨンに、鍵は開いていますと言われ、ユンシクは周辺を窺いながらアトリエの中に入った。

「ソヨンさん…」
「ごめんなさい…ユンシクさん…」
心配そうな表情を浮かべるユンシクに、ソヨンは一晩で一気にやつれた顔に、切ない微笑みを浮かべた。

ユンシク


「ユンシクさん、朝食は?」
「あ、ソヨンさんは?」
「まだなの…ユンシクさんもまだなら…」
「僕も、まだ……」
居候先のジェシンの実家で、朝食は済ませてきたユンシクだったが、食べていないと嘘をついた。
ソヨンは、嬉しそうな微笑みを浮かべて、ユンシクに言った。
「じゃあ、ご一緒にいかが?」
「ええ、よろこんで」
眩いばかりの笑顔を振りまくユンシクに、ソヨンは恥じらいを浮かべ、待っててと言いながら奥のキッチンに入って行った。



※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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1 Comments

aunt Bubble  

拍手&コメントくださいました やすべぇ様

やすべぇ様
こんにちは。バブルぅです。
拍手&コメントくださりありがとうございます。

序盤で、ウギュの悪事をぶっ飛ばしてしまいましたので、拾い集めているところでございます(;^_^A…なのに、さらにおっぴろげ~~ (_ _|||)
ウギュ親子 vs.ヨンハ…勝手気ままな茶番劇に、もうしばらくお付き合いください♪
次回、【さらわれたユニ9】はこのカテゴリの最終話でございます。
是非お越しください(*^^*)

2017/11/28 (Tue) 23:04 | EDIT | REPLY |   

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