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14 2017

婚約パーティ2

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。
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パーティの当日、ヨンハは約束の時間をとっくに過ぎて、ユニのいるサロンがあるエレベーターホールに立った。
笑顔を向けて自分に近づいてくる美女に目を奪われ、彼らしくなく戸惑いを覚えた。
美女の正体がユニだと気づくと、言葉の代わりに溜息とも吐息ともつかない息を静かに吐いた。

―――上等だ―――やっぱりお前は最高だ…

満足そうな顔のヨンハに、ユニは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「どう?ヨリム兄(オッパ)?」
と聞くと、ヨンハは腕を組み、顎に手をそえてユニを眺め、いたずらっぽい笑みを口元に浮かべて、眉をしかめる。
「うーん、何か足らない」
「え?何が足りないの?」
ユニは両手を上げて、自分の姿を見直した。
「ユニ、後ろを向け」
ヨンハに促されて、ユニは彼に背を向けた。
背後からヨンハの両手が伸びて、ユニの襟元にひんやりとした感触が伝わる。
指でそっと掴んで胸元を見ると、1カラットはゆうに超える大粒のダイヤモンドだった。
ユニはびっくりして手を離した。
「わっ、わっ、だ、だ、だ(ダイヤ)―――」
ユニは驚きのあまり、口をぱくぱくとさせて言葉にならなかった。
「喜ぶな……借りてきた」
「だけど、か、借りてきたって……」
ユニの胸元に鎮座するダイヤモンドから、氷のように冷たい感覚に襲われて、言葉が続かなかった。

―――イミテーションって言ってくれたら良かったのに。

ヨンハのような大金持ちが周りにいない限り、ユニのような女子学生が一生触れることがない高価な代物だ。
さらにヨンハはユニの左手を取って、無造作に胸のポケットから指輪を取り出した。
これも借り物だと言いながら、ユニの薬指に通した。
サイズもぴったりだ。聞かれてもいないのに、指輪のサイズまでわかるなんてさすが、と感心してしまう。
ヨンハは、ユニの手を握ったまま
「ユニ、今からお前は俺の婚約者だ。熱愛ぶりをたっぷりアピールするんだぞ……いいかオッパはダメだ。ヨンハさん、わかった?」
「うん。わかったわ……呼び方はいいけど、アピールは必要なの?」
ユニは訝しげにヨンハを見る。
「今夜はうるさい親戚連中も来るんだ。こういう集まりがあると、決まって見合い話を持ってくるから…うんざりなんだよ」
世界中の美女を侍らせたいと願う俺が、結婚する気があるわけがない、と意気揚々と言うヨンハに、ユニは呆れて言葉が出なかった。
「ユニ、お前なら考えてもいいぞ……ん?……今夜、俺のベッドに誘ってもいいか?」
ヨンハがユニの耳元に口を寄せ、ゾクッとする猫なで声で囁く。
「嫌よ。遠慮するわ。ヨリム兄のベッドほど恐ろしいものはないもの。きっと女の人の怨念でいっぱいだと思うの。……ああぁ、ぜったい無理!」
ユニは、ぶるぶるっと体を震わせて肩をすくめた。ヨンハは楽しそうに笑っている。

―――いったい女をなんだと思ってるのよ。まったく……

家賃三か月分……三か月分……と口の中で唱えながら、ヨンハの前を通り過ぎていく。
「こらこら、ユニ、待て待て!今夜は大事なパーティだ―――」
肩を怒らせて足早に歩くユニの後を追いかけた。

ヨンハは、エレベーターの扉の前でつんとして横を向くユニの手首を引き寄せ、掌に小さな香水の瓶を乗せた。
「嗅いでごらん」
ユニの表情が和らぎ、香水の瓶を手に取って顔に寄せた。
「うーーん、ヨリム兄、すごくいい香りね」
「オッパじゃないだろ?」
ユニは「あっ」と言って舌を出す。
「男を惑わす香りだ。気に入った?」
ユニは上目使いでヨンハを睨み、口元は笑っている。
「お前にプレゼントだ」
「いいの?本当に?……ありがとう、ヨ、ン、ハさん」
ユニは『ヨンハさん』と言ったあとで、ブーっと吹き出した。
「おいおい、それはないだろう?」
「あはは―――!ごめんなさい。ヨンハさん……慣れてないの……あはは!」
ユニの笑いが止まりそうにないまま、エレベーターの扉が開いた。

キム・ユニ


会場の入り口に1台の車が停まった。
後部座席から降りてきたのはイ・ソンジュンと、その婚約者のハ・ヒョウンだった。
先に車を降りたソンジュンは、ヒョウンを待ちながら上着の襟を正し、辺りを見渡す。
周辺は運転手付きの高級車で混雑していた。
ふと、そのうちの1台に目を留めた。
ヨンハの側近、トックが車の前で携帯を手に誰かと話している。
ソンジュンは、その背の低い中年の男に見覚えがあった。

―――あの人、どこかで…

すぐにソンジュンは、駅で出会ったユニを迎えに来た運転手だと気が付いた。
「知り合い?」
ヒョウンに声をかけられると「あ、いや…」と曖昧に返事をした。
運転手のせいで不意にユニのことが思い出されて、うっかりヒョウンを置いてすたすたと中に入ってしまった。
ヒョウンが口をとがらせて「ねぇ、待って」と言いながらソンジュンに追いつくと、彼の腕に手を絡ませた。
「ソンジュンさん、こっち見て……」
ヒョウンの甘えた声で引き戻され、彼女を振り返った。

『ソンジュン、今日はヒョウンさんをちゃんと褒めてあげなさい』
家を出るとき、母に言われた言葉を思い出した。

「……ヒョウン(na)、とても綺麗だよ……」
その一言でヒョウンの表情がぱっと明るくなった。
「行こう…」
ソンジュンに促され、ヒョウンは恥じらいながらそっと寄り添った。

―――いつになったらヒョウンに対して恋愛感情が生まれるのだろう……

恋人と呼べる女性はヒョウンが初めてで、キスをしたのも彼女が初めてだった。
とても美しい女性で家柄も良い。これ以上ない良縁だと言われるが、当のソンジュンに情熱がかけていた。

二人きりになると、ヒョウンから唇を重ねてくる。
彼女が期待するような反応ができないから、その度に機嫌が悪くなる。だったら(キスを)しなければいいのに、と思うのだった。

この先、ヒョウンに愛情を感じることができるのだろうか、と友人に相談したことがあった。
『抱いてしまえば、自然と情が湧き、愛しさが生まれるよ』
友人はそう教えてくれた。
そんなものだろうかと思ったが、そばにいたい、触れたいなどの感情がどうしても湧いてこない。
安易な気持ちで一線を超えてしまうのは、ヒョウンに対して礼儀に悖ることだと、自分に言い聞かせた。

―――恋愛に関して、欠損しているのだと思ってた……彼女に会うまでは…

ユニという名前が頭から離れない。握られた手の感触が忘れられなかった。
物事において冷静沈着であるはずの自分が、ほんの一瞬すれ違っただけの出会いで、こんなにも感情を揺さぶられるなんて、動揺すら覚える。

出会った翌日、ソンジュンは本の購入を口実にして、あの駅で同じ時間に待つことにした。
彼女を見つけたが、前の日と違う男が一緒だった。声をかける前に車に乗って行ってしまった。
その翌日はブレスレットを返すつもりで、その次の日は彼女にもう一度会いたくて駅に行ってみたが、彼女は現れなかった。
あれほどの美人だ。恋人くらいはいるだろう。
オッパと呼んでいた、背の高い男が恋人かもしれない。
ソンジュンは彼女の横に他の男がいるのを想像しただけで、何故こんなにも不愉快に思うのか理解できなかった。
ポケットに忍ばせた、彼女のものかもしれない壊れたブレスレット。
きれいに洗った小花柄のハンカチに包んで、自分の机の奥にしまい込んだ。

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こんにちは。バブルうです。
いつも、たくさんの拍手を本当にありがとうございます。

大好きな映画、リチャード・ギアとジュリア・ロバーツ主演「プリティ・ウーマン」のワンシーンを、ユニとヨンハで再現しました。
エドワードとヴィヴィアンが、オペラ鑑賞へ行く前のシーンです。
赤いイヴニングドレスが素敵すぎて…

ペントハウスで、シャンパンと苺。
…とてもリッチで良い時代でした~~!
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2 Comments

みかん  

はじめまして
ソンジュンとユニの再会ですね。
お互いフィアンセ付で。
楽しみにしています。

2017/03/17 (Fri) 17:56 | EDIT | REPLY |   

aunt Bubble  

ありがとうございます

みかん様
コメントをくださり、ありがとうございます。
花の四人組を愛するあまり、身勝手な妄想をふくらませております。
意地悪な管理人ゆえ、かんたんに恋の成就とはいきませんが
ゆっくりとお楽しみいただけたら幸いです。
今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。

バブルぅ

2017/03/18 (Sat) 13:32 | EDIT | REPLY |   

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