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10 2017

母の計らい7<追い詰められたインス・中編> ~番外編~

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



店内を静寂な空気が包む。
インスは、いつの間にか椅子に腰を下ろした紳士と、目の前の店主の顔を鋭い目つきで交互に見た。

「ハ・インスさん?お騒がせして申し訳ありません。初めまして…私、ステファン・チェンと申します…」
さっきまで英語で会話をしていた紳士が、流暢な韓国語で自身の名前を名乗った。

Mr.チェン


会ったこともない男に、自分の正体がわれている。インスは冷静さを装いながら答えた。
「悪いが、私はそのハ・インスという名前じゃない……」

「じゃあ、お前は誰なんだ?俺の知ってるインスじゃないとなると……」
突然、入り口の方から声がする。
開けっ放しの扉の向こうに、ヨンハとイ・ジェジョンが立っていた。

―――ヨリム!!

ヨンハの登場で、謀られたことを悟ったインスは、頬を引きつらせこめかみに青筋を立てた。

「インス…明日の日本の朝刊に、ビョンチュンとその御一行が載るだろう…覚せい剤所持容疑、韓国籍の男らを現行犯逮捕…って」
「何だと?」
「そして、お前は、主犯格として国際指名手配された…」
「はっはっは!ありえない話だ…冗談は、顔だけに留めておくんだな……」
「冗談かどうかはすぐにわかる…おおかた、いつものように逃げられると思っているだろうが、国外ではお前の手口は通用しない…お前が信頼を寄せる女、ワタナベ・シオリ(渡辺汐梨)は日本の優秀な麻薬取締官だ。韓国名はイ・イヨン/李梨英、そこにいるユウスケはジョンウ/鍾佑、そしてこいつ、お前のよく知ってる男、(ジェ)ジョンは、ふたりの弟だ…」

ヨンハは、バー「JOJO」のオーナーは自分だと明かした。
店主をさせていたイ・ジョンウと弟のジェジョンの名前から名付けたという。
3人の姉弟は在日韓国人で、日本で育ち、一番下のジェジョンだけが帰化せずに韓国籍を持っていた。
ジェジョンを通じて、麻薬取締官の渡辺汐梨(シオリ)に情報提供し、シオリ自身がおとりになってインスに近づいた。
大きな取引を餌に、ビョンチュンや他の取り巻きを、インスから遠く離れた日本で逮捕するに至った。

「もう一つ教えてやろう…そこにいるナイスミドルはミスター・チェン。父親同士が古くからの友人でね。そして、彼は香港でも有名な、閻羅(イェンロウ)のボスの親友だ…」
インスの耳に、ヨンハの声が大きな耳鳴りとなってこだまする。
状況を整理しようと躍起になるほど、目の前の光景が歪んで見えた。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


ホンは、香港マフィアの組織の一つ、閻羅(イェンロウ)のメンバーだった。
組織は、数年前から他の組織との折り合いで、麻薬の取引から一切の手を引き、全てのメンバーに指令を出していたが、その方面を一手に担っていたホンは、組織に隠れて取引を続けていた。
ホンの裏取引はボスの知るところになり、ホンは再三にわたって警告を受けるが、やめようとはしなかった。
それどころか、組織を抜けたほうが身動きがしやすいと、密かにもくろんでいた。

ホンは、表の顔でもある貿易公司の商交渉で、北朝鮮の開城市(ケソン市)を頻繁に訪れていた。
貿易を装いながら、一方では現地で麻薬を調達して、商品の中に混載する手口で韓国に密輸し、インスの手に渡るというルートだ。
厳重な審査の元で容易に密輸が可能だったのは、入国管理局にもウギュの手が回っていたのもある。
資金の流れはインスからホンへ支払われ、ホンからウギュへ裏金が流れるといった経緯だ。
ルートは全て、ウギュの配下だったカン・ジョンジュの名義で、中国系銀行の口座が使われたが、ジョンジュが溺死した後、急遽、金が必要だというホンの要求に、一度だけインスからホン名義の口座に資金が流れた。
たった一度の取引のためにイェンロウ(香港マフィア)に情報が流れ、インスの名が組織に知れ渡ることとなる。

ヨンハの知人でもあるチェン氏は閻羅(イェンロウ)の会長(ボス)と友人関係でもあった。
以前ヨンハが、ジェジョンを香港へ使いに行かせ、ホンとの密会を頼んだ際に、ホンはすでに行方をくらました後だったが、インスとホンの繋がりが判明し、ホンに会わなくても知りたかった情報を手に入れることができた。

ヨンハはシオリからの情報で、ウギュやインスをバックに、気を緩めたホンが、頻繁にソウルに出入りすることを掴んでいた。
閻羅(イェンロウ)のボスが、ホンを探していることを知っているヨンハは、チェンを通じてホンの居場所を教えた。
ビョンチュンらインスの取り巻きたちを日本で拘束させ、JOJOでふたりが落ち合う日を狙って、チェンと組織のメンバーが香港からやってきた。

ホンについては、その身柄を、韓国の緩い警察組織に拘束される前に、組織に渡すようヨンハと合意を結んでいた。
この夜以降、ホンの行方は組織のメンバー以外、知ることはなかった。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


追い詰められた表情を隠せないインスに、ヨンハは哀れみの眼差しを向けながら言った。
「なあ、インス…お前はもう逃げられないだろう…俺は警官でもないし、仕置き人でもない…お前には義理はないが、ヒョウンの悲しむ姿は胸が痛い。せいぜい別れを惜しんでから、自首するんだな」

インスは、わなわなと唇を震わせながら、アイスピックが突き刺さった封筒から手を離し、しばし目を閉じた。
気を落ち着かせたインスは、再び目を開くと静かに立ち上がった。
そして、その場にいた4人を順に睨みながら、外に続く扉に向かった。
扉に手をかけながら、肩越しにヨンハを振り返り、口元に笑みを浮かべたまま店を出て行った。

インス


その後、インスはどこかへ身を隠し、自ら警察に出頭することは無かった。

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「長官、ご令息が……」

企画財政部長官のハ・ウギュは、江南のクラブでホステスに囲まれ、気分よく飲んでいたところに、血相を変えた配下の男がやってきて、彼に耳打ちをした。
「今、何と言った?」
耳を疑うような内容に、耳打ちした男に再び尋ねた。
「その…ご令息に薬物取締法違反の容疑が…」
「馬鹿な…すぐにもみ消せ」
「それが、その…国際指名手配に…それから、ご友人たちも、同容疑で日本で拘束されたそうです…」
「何だと!?」
ウギュは怒りで手を震わせ、掴んでいたグラスを店の壁に向かって投げつけた。
大きな音をたててグラスが割れ、驚いた女たちの悲鳴が店内に響いた。

満席の店内にいた客らは口を閉ざし、一斉にウギュを見た。

「すぐに、車を回せ!!」
囲んでいたホステスを乱暴に退かし、通路を開けさせると、大股で店の出入り口へ向かった。



※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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