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03 2017

母の計らい4

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



「オッパ!いつまで寝てるの!?ほら、起きて!!電話はどこ?いくらかけても通じないんだもの!!」
「うぅぅ……ん?」

夢うつつに、ジェシンが目を開けると、ユニの怒った顔が目に飛び込んできた。
ユニの怒りをよそに、ジェシンは目を細めて微笑みを浮かべた。
まだ未練の残る女の顔だ。思わず抱き寄せたくなる衝動に駆られる。
もうすでに他の男のものだと我に返り、ジェシンが起き上がった。
「ん?お前、どうやってこの部屋に入った?」
「呆れた…鍵が開けっ放しだったわよ……まあ、泥棒が入ったところで、運が悪いのは泥棒でしょうけど…あぁ、酒臭い!?一体何時まで飲んでたの?」
「朝っぱらから、ギャンギャンうるさいぞ、お前…!」
「じゃあ、早く準備してね…トックさんを下に待たせてあるの。そうだ。今日はヨリム兄(オッパ)が来れないって…」
「ん、んぁ?」

―――ヨリムのやつ、逃げやがったな!?

この日は朝から、白砂村(ペクサマウル)で、炊き出しのボランティアを行う予定になっていた。
ジェシンとヨンハ、ユンシクとユニ、トックの5人の予定だ。
ユンシクは昼から予定があると言って、下準備のために朝早くから向かうと言っていた。
昨夜遅くまで一緒に飲んでいたヨンハは、おそらく二日酔いなのだろう。
朝早くに、俺は行けなくなったと、先手を打ってユニに連絡をしてきたらしい。

「…ったく…あいつは…」
「しかたがないでしょ…オッパが飲ませすぎなのよ。炊き出しに行くって、わかってるのに…」
「なっ!?」
ユニには、すべてお見通しだった。
「その代わり、代役を呼んだからって。食材もずいぶん奮発してくれたの。朝早くに、トックさんとユンシクが運んでくれたわ…ほら、早く支度して!」
「わかった、わかった……ん?代役って、カランか?」
「えっ…?違うわ。彼じゃない…」
「ん?……なんだ?お前らケンカでもしたのか?」
ソンジュンの名前を口に出した途端、ユニの顔が瞬時に曇ったのを、ジェシンは見逃さなかった。
ユニが口を開きかけて黙り込むのを見て、ジェシンはやれやれ、という表情を浮かべた。

「で、誰なんだ…?まさか!?ダウニー?」
「正解!!ダウンちゃんよ。車の中で待ってるわ…ご両親の会社が食品を扱ってるでしょ?保存がきく食料品を、たくさん提供していただいたの。ユンさんたち、凄く喜んでたって。それから、今日は午後から、他の団体の方が来てくれるんですって」
「ふーん」
「やだ!話してる場合じゃないわ。私は下で待ってるから、早く下りてきてちょうだい!!」
「ああ、わかった…」
慌ただしいユニの後ろ姿を見送ると、ジェシンはベッドから降りた。

コロ


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白砂村(ペクサマウル)。
この日は、あちこちでボランティアによる炊き出しが行われていた。
ユニたちのグループは、高台の小さな広場で、大鍋に用意したトッポギと鶏肉スープを、集落に住む人たちへふるまうために、忙しく立ち回っていた。
高齢化が進み、足の不自由な住人のために、ユンシクは坂道を何度も往復して配って回る。
病弱だった彼が、額に汗をにじませて、爽やかな笑顔で行き来する姿に、ユニは満足そうな笑みを浮かべる。

ユンシクを健康な青年にしてくれたのは、少なからずソンジュンのサポートがあってこそだ。
ソンジュンと悲しい別れ方をした後、中間試験のおかげでいくらか気を紛らわすことができたが、試験が終われば彼のことばかり考える。
最後に会った彼の悲しい顔が脳裏に浮かび、胸がきゅんと締め付けられた。

朝の寒さも緩み、初冬の太陽が一番高くなる頃、ようやく大鍋の底が見えてきた。
午前の炊き出しが落ち着くと、ユニとユンシク、ジェシンとダウンの4人は、ほっと一息ついた。

「僕、帰っても大丈夫?」
午後から用事があると言っていたユンシクが、皆に尋ねた。
「ああ、もういいぞ」
「テムルさん、お疲れさまでした」
「ありがとう、ユンシク。あとは大丈夫よ…ユンさんやヨリさんたちに挨拶してってね」
「うん、わかった」

じゃあね、と手を振りながら帰って行く、ユンシクの後ろ姿を見送ったあと、ユニがジェシンに向かって言った。
「オッパ?夕方からの炊き出し用の食材が、そろそろ届くわ。下まで取りに行ってくれる?」
「ああ、わかった」
「ジェシンさん?私もお手伝いするわ」
一緒に行くというダウンに、ジェシンが首を横に振った。
「ここにいろ…邪魔になるだけだ…」
来るなと言われたダウンの顔に、寂しそうな表情が浮かぶ。
「ダウンちゃん、重たいし坂道は大変よ…オッパだって、あんなこと言ってるけど、本当は心配なのよ……ね?この大鍋を洗いたいの。手伝ってくれるかしら?」
ユニの言葉に、ダウンの顔がほころんだ。
ジェシンは、ちっと舌打ちしながら、ふたりに背を向けた。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


バスを降りたソンジュンは、北の方角から吹いてくる乾燥した冷たい風に、ブルゾンのジッパーを首元まで上げた。
そして目の前に広がる、粗末な小屋が立ち並ぶ集落を見渡しながら、足を前に出した。

ふと前を見ると、重そうな段ボールを抱えた見覚えのある後ろ姿に気が付き、ソンジュンは背後から声をかけた。

「先、輩…?」

声をかけられ、肩越しに振り返ったジェシンは、声の主がソンジュンだと気が付くと、食材の入った段ボールを下に置いて振り向いた。
「なんだ、カラン……お前、来ないんじゃなかったのか?」
「え?」
ソンジュンは、どういうことかと、尋ねるような表情を浮かべた。
「誰に聞いて、ここに来たんだ?」
「誰にって、母にです…ひとりでここを訪れるように言われたので……もしかして、他の団体の方たちって、先輩のことですか?」
「ん?」

―――なんだ。ヨリムの悪巧みじゃぁ…なさそうだな…

何者かが裏で糸を引いている気配に、ジェシンはまたか、といった表情を浮かべた。

「先輩?……」
「ん?なんだ?」
何か言いたそうなソンジュンに、しれっとした表情で尋ねた。
ユニのことを尋ねたいのに、言い出せないでいるのが、はっきりと顔に出ている。
ヨンハが、ソンジュンをからかって面白がる理由が、わかる気がした。
ジェシンは、ふっと鼻を鳴らして微笑んだ。

「ユニなら上にいる……聞いてないのか?」
「え?……それが…」
普段のソンジュンと違って、どうにも歯切れが悪い答え方だ。
ジェシンは舌打ちしながら言った。
「炊き出しに来たんだろ?……じゃあ、悪いな…あとはお前にまかせる」
「え!?まかせるって…」
ジェシンは食材の入った段ボールを持ち上げ、ソンジュンに持てと言わんばかりに突き出した。
いきなり重たいダンボールを持たされ、慌てるソンジュンを無視してスマホを取り出すと、誰かに電話をかけた。



※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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