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29 2017

母の計らい2 <記事の真相> ~番外編~

【成均館儒生たちの日々】に登場するキャラクターを、勝手に現代に置き換えた二次創作です。
原作やドラマ版から引用した部分もありますこと、ご容赦ください。



一昨年の2月、ユン老人と妻がたまたま街へ出掛けた際に、妻のソン・ヨリが急に胸を押さえて苦しみ出し、その場で倒れ込んでしまった。

ユン夫妻


道行く人々が横目で見ながら通り過ぎていく。
極寒の空の下、ソウルの街で、薄汚れた老夫妻に手を差し伸べる人はいなかった。
妻の顔はみるみる真っ青になり、手足は氷のように冷たくなっていく。

「どうかされましたか?」

もうだめかもしれないと、そう思ったとき、夫妻に声をかけたのがユニだった。
ヨリの様子を見たユニは、すぐに病院へ行きましょうと言ったが、病院にかかるようなお金は持っていない。
ユン老人が困惑した表情を浮かべると、ユニは事情を察して、すぐさまヨリを背負い、近くの病院に連れて行った。
途中、お金がないことを伝えると、ユニはそんな心配はいらない、早く奥さんを助けてあげて、とユン老人に言い聞かせた。
幸いにもヨリは、一過性の発作と診断され、薬を処方されて大事には至らなかった。
それが縁で、ここに訪れるようになったと語った。

「頼もしい友人たちや、あの娘の弟も一緒に、ここで炊き出しのボランティアをやってくれるんだ…とてもありがたくてね…学生の身で忙しいだろうに……炊き出しも助かるが、何といっても明るくてね。あの子たちが来るだけで、ここに身を寄せる年寄りが元気になる」
「あの、ユンさん?ピノキオ友の会は、定期的に来ないのかしら?」
「ああ、あなたが代表を辞められてから、しばらくして来なくなった…いや、気を悪くなさるな。彼らが悪いんじゃない。所詮わしらが法を犯して、ここにいるんだから……」

ピノキオ友の会とは、ジョンムが国務総理になる前に、セリョンが代表理事を務めていたNPO団体だ。
ジョンムは、慈善活動を精力的に行うセリョンに、何も言わなかったが、不法占拠されたタルトンネへの支援にはいい顔をしなかった。
国務総理に就任すると、婦人会で慈善活動を続けたらいいと、それとなく団体から手を引くように示唆された。
そのピノキオ友の会も、現在は精力的な活動が行われていないようだ。

「そうでしたか…私、知らなくて…許してください」
暗い表情で深々と頭を下げるセリョンに、ユン老人が慌てて言った。
「奥さん、頭を上げてください。あなたには何の非もない……いやぁ、そうか…この子が奥さんの息子さんなんだね…いつぞやあなたがここへ連れて来てくれた時は、まだ小さい坊ちゃんだった。10歳くらいだったかな?この坂道を何度も往復して、歩くことが困難な年寄りたちに、温かい汁を届けてくれた……冬なのに、汗だくになりながら、大きくなったら、おじさんたちをきっと助ける、と言ってくれました。目にいっぱい涙を溜めながら、口を真一文字に結んだ顔を…今でも忘れませんよ…」
「あの子が、そんなことを?」
「ええ…それにしても、天はよく見ている。互いに最高の相手と、めぐり遭わせてくれたもんだ……はははっ、私はそう思いますが、奥さんはいかがかな?」
「もちろん同じ思いですわ…ユンさんのお話を聞かせていただいて本当に良かった。息子が、とても素晴らしいお嬢さんを選んでくれてたことが、嬉しくて……ユンさん?今さらですが、私もまたこちらに寄らせていただいてもよろしいかしら?」
「ああ、もちろん、そうしていただけると大変ありがたい…ただ、あなたの立場もおありでしょうから、無理はなさるな……こんな街は作ってはならんと思います。今の政治家は…奥さんの前でなんだが…わしらのような人間まで目が届かんのですな…奥さんの小さな坊っちゃんが、この国を変えてくれるだろうて…」
「……ユンさん、目が覚めましたわ…本当にありがとうございます。私の息子が、道を外れないように、しっかりと見張っててくださいますか?」
「ははは、わしにはそんな大それたことなんぞ、できませんって……一つだけ、この年寄りの願いを聞いてくださらんか?」
「何ですの?」
「わしらのような下級の暮らしをしているもんには、到底わからんのだが、奥さんのような上流で暮らしている人らが、あの娘、ユニを受け入れてくれるんでしょうか…?あの娘は、ここに書いてあるようなお嬢様ではない…かと言って、わしらのような貧しい育ちでもない……この国の格差は身をもって知っておるんでな…上流の人らがすべて悪いとは限らんのですが、あの娘に辛い思いをさせたくない…ユニから笑顔を取らんで欲しい……」
セリョンは、ユン老人の手を取ると、しっかりと握って言った。
「ユンさん、お約束しますわ…私が責任を持って、あのお嬢さんを支えます……」
ユン老人は、セリョンに優しく微笑んだ。

しばらくユン老人と話したあと、セリョンは、老女たちの笑い声が絶えない小さな小屋の窓から、そっと中を覗き込んだ。
にこやかに笑うユニの顔をしばらく眺めると、待たせてある車に向かって坂道を下って行った。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。.


イ・ジョンムは、自宅の書斎で、密入国に絡んだ汚職疑惑に関する報告書に目を通していた。

汚職を立証する名簿データの存在が明らかとなり、その中にハ・ウギュの名前が含まれているという内部告発を受けて、密かにデータの入手と調査をさせていた。
そのデータを、カン・ジョンジュという男が盗み出した後、漢江で水死体となって見つかった。
遺体のポケットからUSBメモリーが見つかり、汚職に絡んだと思われる人物のリストがあったが、その中にハ・ウギュの名はなかった。
カン・ジョンジュの死亡について、事件、事故の両方で捜査が行われたが、解剖の結果、大量の酒を飲んでいたことがわかり、酔って誤って川に落ちたという処理で捜査は打ち切られた。

ジョンムは頭を悩ませていた。
以前から、聞きたくなくても耳に届くウギュの悪評には、何度も目を瞑ってきた。
カン・ジョンジュの変死と、名簿データにウギュの名前がなかったことが、あまりにも不自然すぎる。
変死事件に、ウギュが何らかで関わっている疑惑が深まり、距離を置いた方が良いと、ジョンムに近しい人物から示唆された。

ジョンムは書類を片手に持ったまま、眼鏡を外して目を閉じた。
ソンジュンの怒りに満ちた表情と、ヒョウンの泣き顔が瞼の裏に浮かぶ。
傍らには、少し前に届いたユニの身辺に関する調査報告書が置かれていた。
妻にもう一度調べるように言われ、新たに調査を依頼したものだ。

トントンと、扉を小さくノックする音が聞こえた。
ジョンムは「どうぞ」と言って、手に持った書類を裏向きに伏せた。
ノックの主は、妻のセリョンだった。
「どうかしたのか?」
穏やかなジョンムの表情に、セリョンは少女のようなあどけない笑みを浮かべた。
妻は夫の手を取り、書斎のソファに連れてくると、並んで腰を下ろした。

「……今日、白砂村(ペクサマウル)へ行ってきたの」
「!?」
ジョンムは、眉間にシワを寄せて妻を見た。
「……ごめんなさい。あなたが嫌がることは分かっていたけど……今日、あのお嬢さん、ユニさんを白砂村で見かけて、そっと後をつけて行ったの……ユニさん、あそこで皆に愛されていたわ。人の痛みがわかる優しいお嬢さんだって…人をふるいにかけたりしない、素晴らしいお嬢さんよ……ソンジュンが私たちに言った言葉を覚えていらっしゃる?『人として許されないことをしたんです』って。胸が痛みますわ」
妻の言葉をじっと聞いていたジョンムは、大きくため息をつきながら言った。
「ふむ……きみの気持ちはよく分かった。私も、彼女のことは、大きな誤解をしていたかもしれない……だが、しかし…ハ家との破談は、少し難しいかもしれん…」
「難しい?…どうしてですの?あちらのお嬢さんには、ちゃんとお断りしたと、ソンジュンが言っていたわ…」
「ソンジュンが、ハ家の令嬢を……その、凌辱した、傷ものにしたと…そう言ってきた」
ジョンムはソンジュンの記事が載った週刊誌を、セリョンに差し出した。
「まあ!!これは、ヒョウンさんじゃないわ…ユニさんなの。それに、私たちの息子が、そんなことをすると思ってらっしゃるの?」
セリョンの目に涙が浮かぶのを見たジョンムは、彼女の視線を避け、大きなため息とともに口をつぐんだ。


※挿入する画像は、管理人の悪趣味により編集・加工を施しており、あくまでもイメージです。否定や侮辱ではございませんこと、ご容赦ください。実在する人物・団体とは一切関係がございません。

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